条件付き確率とベイズの定理
「分かったこと」を使って確率を書き換える方法。検査の陽性問題を通して、情報から原因を推理する考え方を学びます。

1. 情報が増えると、確率が変わる
中級サイコロを振って、隠れて見えない目について考えます。
「Aだと分かった」という条件のもとでBが起こる確率を条件付き確率といい、P(B|A) と書きます。分母を「全体」から「Aが起こった場合だけ」に切り替えるのがポイントです。
「Aのうち、Bでもあるもの」の割合です。
2. 乗法定理:条件付き確率の使い道
上の式を変形すると、「AかつB」の確率が出せます。
独立のときは、Aの結果がBに影響しないので P(B|A) = P(B) になり、掛け算の公式に戻ります。
3. 全確率の公式:場合分けして合計
結果Bが、原因A(またはA以外)のどちらかから起こるとき、場合分けして足します。
4. ベイズの定理:原因をさかのぼる
遅刻したと分かったとき、「雨だった」確率はどれくらいでしょう? 結果から原因の確率を逆算するのがベイズの定理です。
分母の P(B) には、上の全確率の公式を使います。
雨の確率は30%でしたが、遅刻したと分かると約63%に上がりました。証拠を得て、確率を更新したのです。
5. 有名な落とし穴:陽性でも病気とは限らない
ある病気の有病率は1%。検査は、病気の人を90%陽性にし、健康な人も9%は誤って陽性にします。陽性が出たとき、本当に病気である確率は?
直感では「90%くらい」と答えたくなります。1000人で数えてみましょう(自然頻度で考える方法)。
| 陽性 | 陰性 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 病気(1%) | 9人 | 1人 | 10人 |
| 健康(99%) | 89人 | 901人 | 990人 |
| 合計 | 98人 | 902人 | 1000人 |
正確には 0.009 ÷ (0.009+0.0891) = 約9.2%。健康な人が圧倒的に多いので、誤って陽性になる人の数が、本当の患者の数を上回ってしまうのです。
陽性の確率を実験しよう
10,000人で数えています。有病率を上げる/偽陽性率を下げると、陽性の中の本物の割合がどう変わるか見てみよう。
6. 例題:不良品はどの工場から?
Aの部品が多くても、Bの方が不良率が高いので、不良品の6割超はBから来ています。
7. 練習問題
- サイコロを振って、奇数だと分かった。3以上である確率は?
- 赤玉3個、白玉2個から戻さずに2回引く。1回目が赤だったとき、2回目も赤の確率は?
- 雨の日30%、雨のとき遅刻20%、雨でないとき遅刻5%。遅刻したとき、雨だった確率は?
- 有病率0.5%、感度99%、偽陽性率5%の検査で陽性が出た。本当に病気の確率は?
- P(A)=0.5、P(B|A)=0.6、P(B|Ā)=0.2 のとき、P(A|B) は?
答えと途中式を確認する
1:奇数は1、3、5の3つ。そのうち3以上は3、5の2つ。2/3。
2:残りは赤2・白2の4個。2/4 = 1/2。
3:0.06 ÷ (0.06+0.035) = 12/19 ≒ 0.63。
4:0.005×0.99 = 0.00495、0.995×0.05 = 0.04975。0.00495 ÷ 0.0547 ≒ 0.09(約9%)。
5:分子 0.5×0.6 = 0.3。分母 0.3+0.5×0.2 = 0.4。0.3 ÷ 0.4 = 0.75。