数学A|反復試行(確率シリーズ 第3章)

反復試行と二項分布

同じ試行を何度も繰り返すときの確率。「ちょうどk回」を求める公式と、山型の分布の正体を見ていきます。

ガチャ、打率、勝率…身の回りの「何回かやってみる」は、ほとんどこの公式で説明できるよ!
✦✦クリーム色のニット姿で確率を説明する若い先生

1. 同じことを何回も繰り返す

中級コインを何回も投げる、ガチャを何十回も引く、打者が何打席も立つ。「同じ条件で、毎回独立に」繰り返す試行を反復試行といいます。

コインを3回投げて、表がちょうど2回になる確率を考えてみましょう。

表表裏、表裏表、裏表表 の 3通り
どれも起こる確率は (1/2)³ = 1/8
P = 3 × 1/8 = 3/8

「何通りあるか」×「1通りの確率」の形になっています。これを一般化します。

2. 反復試行の公式

1回の試行で成功する確率を p、失敗する確率を q = 1−p とします。n回のうちちょうどk回成功する確率は次のとおりです。

P(k回成功) = ₙCₖ × pᵏ × qⁿ⁻ᵏ
例題:サイコロを5回振って、6の目がちょうど2回出る確率。
n=5、k=2、p=1/6、q=5/6
₅C₂ × (1/6)² × (5/6)³ = 10 × 1/36 × 125/216 = 1250/7776 ≒ 0.161

約16%。6の目が「1回も出ない」確率 (5/6)⁵ ≒ 40.2% の方が高いです。

3. 分布:k回の確率を全部並べる

コインを4回投げたときの、表の回数ごとの確率です。

表の回数 k01234合計
ₙCₖ1464116
確率1/164/166/164/161/161

ₙCₖ の並びは、前のページで見たパスカルの三角形の行そのものです。「ちょうど半分」が一番多く、両端は少ない山型になります。このような確率の並びを二項分布といいます。

なぜ合計が1?

二項定理 (p+q)ⁿ = Σ ₙCₖ pᵏ qⁿ⁻ᵏ の右辺が全部の確率の合計です。左辺は (p+q)ⁿ = 1ⁿ = 1。「二項分布」という名前は、二項定理の展開の各項がそのまま確率になっているからです。

二項分布を実験しよう



「n回のうち成功した回数」を人数分くり返し、その割合を理論値(緑)と比べます。

4. 「少なくとも1回」の威力:ガチャの真実

当たり確率3%のガチャを引き続けたとき、少なくとも1回当たる確率は、余事象を使って計算できます。

少なくとも1回当たる確率 = 1 − (1−p)ⁿ
引く回数 n10233450100200
当たる確率26.3%50.4%64.5%78.2%95.2%99.8%

「確率3%なら約33回で当たるはず」と思いがちですが、33回引いても当たらない確率は 0.97³³ ≒ 36.6% もあります。期待される回数と、実際に当たる確率は別物です。半分を超えるのは23回目からです。

5. 例題

例題:打率3割(p = 0.3)の打者が4打席立ち、ちょうど2安打を打つ確率。
₄C₂ × 0.3² × 0.7² = 6 × 0.09 × 0.49 = 0.2646

約26%。打率3割の打者でも、4打席で1本も打てない確率は 0.7⁴ ≒ 24% あります。

使える条件:① 毎回の成功確率が同じ ② 各回が独立。くじを「戻さずに」引く場合は確率が毎回変わるので使えません(それは組合せの計算です)。

6. 練習問題

  1. コインを5回投げて、表がちょうど3回出る確率は?
  2. サイコロを4回振って、1の目がちょうど1回出る確率は?
  3. 成功率0.2の挑戦を5回行う。少なくとも1回成功する確率は?
  4. ○×問題8問を、すべて当てずっぽうで答える。ちょうど6問正解する確率は?
  5. 1試合あたりの勝率が0.6のチームが、3戦2勝先取で勝つ確率は?(引き分けなし)
答えと途中式を確認する

1:₅C₃ × (1/2)⁵ = 10/32 = 5/16。

2:₄C₁ × (1/6) × (5/6)³ = 4 × 125/1296 = 125/324 ≒ 0.386。

3:1 − 0.8⁵ = 1 − 0.32768 = 0.67232。

4:₈C₆ × (1/2)⁸ = 28/256 = 7/64 ≒ 0.109。

5:2連勝:0.6² = 0.36。2勝1敗(最後は勝ち):最初の2試合で1勝1敗が2通り、その後勝つ → 2 × 0.6 × 0.4 × 0.6 = 0.288。合計 0.648。