確率の基本
確率の定義から、余事象・加法定理・独立まで。高校数学Aの確率を、サイコロとコインを手がかりに整理します。

1. 確率とは何か
初級確率とは、「ある出来事の起こりやすさ」を 0 から 1 までの数で表したものです。
ただし、どの場合も同様に確からしい(どれも同じ程度に起こりやすい)ときに限ります。
絶対に起きない
五分五分
必ず起きる
用語を確認します。試行は結果が偶然で決まる実験、事象はその結果の集まり、全事象は起こりうる結果すべての集まりです。事象Aの確率を P(A) と書きます。
2. サイコロ2個の全36通り
大小2個のサイコロを振ります。大の出方6通り × 小の出方6通り = 全部で 36通りで、どの組も同様に確からしいです。目の和を表にします。
| 大\小 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
| 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
和が7になる場所(黄色)は6か所なので、P(和が7) = 6/36 = 1/6。和ごとの場合の数は次のとおりです。
| 和 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 場合の数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
7が一番出やすく、両端の2と12は36回に1回ずつ。この山型の形は、後の章で何度も登場します。
3. 「同様に確からしい」を疑う
コインを2枚投げて「表が2枚になる確率」は? 「0枚、1枚、2枚の3通りだから 1/3」と考えたくなりますが、これは誤りです。
「表が1枚」は(表,裏)と(裏,表)の2通りあるので、3つの結果は同様に確からしくありません。同様に確からしい単位まで細かく分けるのが鉄則です。
4. 余事象:「ない」を考える
事象Aが起こらない事象を余事象といい、Ā と書きます。
「少なくとも」「〜でない」が出たら余事象。これは確率の中で最も使い勝手のよい近道です。
5. 加法定理:「または」の確率
AとBが同時に起こらない(排反)なら、確率は足せます。
同時に起こりうるときは、重なりを二重に数えているので、1回分引きます。
6. 独立:影響し合わない
片方の結果がもう片方の確率に影響しないとき、2つの事象は独立です。このとき「かつ」の確率は掛け算になります。
排反と独立は別物:排反は「同時に起きない」、独立は「影響し合わない」。サイコロ1回で「1の目」と「2の目」は排反ですが、1が出たら2は絶対に出ないので、独立ではありません(むしろ強く影響し合っています)。
7. 取り出し方:戻す・戻さない
赤玉3個、白玉2個から2個取り出します。
戻さずに順に取るのと、同時に取るのとで確率は同じです。一方、取ったら戻す場合は毎回条件が同じなので独立になり、赤・赤は 3/5 × 3/5 = 9/25 です。
サイコロ2個の実験:理論と見比べよう
回数を増やすほど、実験(黄)が理論(緑)に近づくのを確かめてね。
8. 例題と練習
ちなみに、2人目が当たる確率は 3/10 で、1人目と同じです。くじ引きは順番に関係なく公平です。
- 大小2個のサイコロで、目の和が8になる確率は?
- コインを4回投げて、少なくとも1回裏が出る確率は?
- 赤玉4個、白玉3個から2個同時に取り出す。同じ色になる確率は?
- 1〜30の整数から1つ選ぶとき、3の倍数または5の倍数である確率は?
- サイコロ2個を振って、少なくとも1個が偶数である確率は?
- 当たり3本を含む10本のくじから、2人が順に引く(戻さない)。2人とも当たる確率は?
答えと途中式を確認する
1:和が8になるのは(2,6)(3,5)(4,4)(5,3)(6,2)の5通り。5/36。
2:1 − 全部表の確率 = 1 − 1/16 = 15/16。
3:全体 ₇C₂ = 21。赤赤 ₄C₂=6、白白 ₃C₂=3。(6+3)/21 = 3/7。
4:3の倍数10個、5の倍数6個、15の倍数2個。(10+6−2)/30 = 14/30 = 7/15。
5:1 − 「2個とも奇数」= 1 − (1/2 × 1/2) = 3/4。
6:3/10 × 2/9 = 1/15。