数学A|確率(確率シリーズ 第2章)

確率の基本

確率の定義から、余事象・加法定理・独立まで。高校数学Aの確率を、サイコロとコインを手がかりに整理します。

「同様に確からしい」がキーワードだよ。ここを守れば、確率の計算はぜんぶ数え方の問題になるんだ!
✦✦クリーム色のニット姿で確率を説明する若い先生

1. 確率とは何か

初級確率とは、「ある出来事の起こりやすさ」を 0 から 1 までの数で表したものです。

P(A) = Aが起こる場合の数 ÷ 起こりうる全部の場合の数

ただし、どの場合も同様に確からしい(どれも同じ程度に起こりやすい)ときに限ります。

0
絶対に起きない
1/2 = 0.5
五分五分
1
必ず起きる

用語を確認します。試行は結果が偶然で決まる実験、事象はその結果の集まり、全事象は起こりうる結果すべての集まりです。事象Aの確率を P(A) と書きます。

2. サイコロ2個の全36通り

大小2個のサイコロを振ります。大の出方6通り × 小の出方6通り = 全部で 36通りで、どの組も同様に確からしいです。目の和を表にします。

大\小123456
1234567
2345678
3456789
45678910
567891011
6789101112

和が7になる場所(黄色)は6か所なので、P(和が7) = 6/36 = 1/6。和ごとの場合の数は次のとおりです。

和23456789101112
場合の数12345654321

7が一番出やすく、両端の2と12は36回に1回ずつ。この山型の形は、後の章で何度も登場します。

3. 「同様に確からしい」を疑う

コインを2枚投げて「表が2枚になる確率」は? 「0枚、1枚、2枚の3通りだから 1/3」と考えたくなりますが、これは誤りです。

コインに名前を付けると:(表,表)(表,裏)(裏,表)(裏,裏)の 4通り
表が2枚になるのは1通り → P = 1/4

「表が1枚」は(表,裏)と(裏,表)の2通りあるので、3つの結果は同様に確からしくありません。同様に確からしい単位まで細かく分けるのが鉄則です。

4. 余事象:「ない」を考える

事象Aが起こらない事象を余事象といい、Ā と書きます。

P(Ā) = 1 − P(A)
例題:コインを3回投げて、表が少なくとも1回出る確率。
全部で 2³ = 8通り
「少なくとも1回表」の反対は「3回とも裏」で 1通り
P = 1 − 1/8 = 7/8

「少なくとも」「〜でない」が出たら余事象。これは確率の中で最も使い勝手のよい近道です。

5. 加法定理:「または」の確率

AとBが同時に起こらない(排反)なら、確率は足せます。

P(A∪B) = P(A) + P(B) (排反のとき)

同時に起こりうるときは、重なりを二重に数えているので、1回分引きます。

P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B)
例題:1〜100の整数から1つ選ぶとき、2の倍数または3の倍数である確率。
2の倍数は50個、3の倍数は33個、両方(6の倍数)は16個
P = 50/100 + 33/100 − 16/100 = 67/100

6. 独立:影響し合わない

片方の結果がもう片方の確率に影響しないとき、2つの事象は独立です。このとき「かつ」の確率は掛け算になります。

P(A∩B) = P(A) × P(B) (独立のとき)
例:コインを2回投げて、2回とも表 = 1/2 × 1/2 = 1/4。1回目の結果が2回目に影響しないので独立です。

排反と独立は別物:排反は「同時に起きない」、独立は「影響し合わない」。サイコロ1回で「1の目」と「2の目」は排反ですが、1が出たら2は絶対に出ないので、独立ではありません(むしろ強く影響し合っています)。

7. 取り出し方:戻す・戻さない

赤玉3個、白玉2個から2個取り出します。

戻さずに順に2個、どちらも赤:3/5 × 2/4 = 3/10
組合せで同時に2個、どちらも赤:₃C₂ ÷ ₅C₂ = 3/10

戻さずに順に取るのと、同時に取るのとで確率は同じです。一方、取ったら戻す場合は毎回条件が同じなので独立になり、赤・赤は 3/5 × 3/5 = 9/25 です。

サイコロ2個の実験:理論と見比べよう

ボタンを押すと、目の和の割合を理論値(緑)と並べて表示します。

回数を増やすほど、実験(黄)が理論(緑)に近づくのを確かめてね。

8. 例題と練習

例題:10本のくじに当たりが3本。2人が順に1本ずつ引く(戻さない)とき、2人とも当たる確率。
1人目が当たる 3/10、そのとき残りは9本で当たり2本 → 2/9
3/10 × 2/9 = 6/90 = 1/15

ちなみに、2人目が当たる確率は 3/10 で、1人目と同じです。くじ引きは順番に関係なく公平です。

  1. 大小2個のサイコロで、目の和が8になる確率は?
  2. コインを4回投げて、少なくとも1回裏が出る確率は?
  3. 赤玉4個、白玉3個から2個同時に取り出す。同じ色になる確率は?
  4. 1〜30の整数から1つ選ぶとき、3の倍数または5の倍数である確率は?
  5. サイコロ2個を振って、少なくとも1個が偶数である確率は?
  6. 当たり3本を含む10本のくじから、2人が順に引く(戻さない)。2人とも当たる確率は?
答えと途中式を確認する

1:和が8になるのは(2,6)(3,5)(4,4)(5,3)(6,2)の5通り。5/36。

2:1 − 全部表の確率 = 1 − 1/16 = 15/16。

3:全体 ₇C₂ = 21。赤赤 ₄C₂=6、白白 ₃C₂=3。(6+3)/21 = 3/7。

4:3の倍数10個、5の倍数6個、15の倍数2個。(10+6−2)/30 = 14/30 = 7/15。

5:1 − 「2個とも奇数」= 1 − (1/2 × 1/2) = 3/4。

6:3/10 × 2/9 = 1/15。