数学A|場合の数(確率シリーズ 第1章)

場合の数

確率の土台は「数え上げ」です。樹形図から順列・組合せまで、漏れなく重なりなく数える方法を学びます。

確率が苦手な人の多くは、実は数え方でつまずいてるの。ここを押さえれば、次からがぐっとラクになるよ!
✦✦クリーム色のニット姿で確率を説明する若い先生

1. 確率の前に「数える」

確率は、ほとんどの場合「あることが起きる場合の数 ÷ 全部の場合の数」で決まります。だから確率の第一歩は、漏れなく・重なりなく数えることです。

初級このページは高校数学Aの「場合の数」です。公式より先に、数え方の考え方を見ていきます。

数え方のコツはたった2つ。

① 全部書き出す(樹形図) ② 規則が見えたら掛け算・足し算にまとめる

2. 樹形図で全部書き出す

上着が2枚(A、B)、ズボンが3本(①②③)あるとき、コーディネートは何通りでしょう。上着を決めると、その先でズボンが3本に分かれます。

上着2枚とズボン3本の樹形図上着AとBのそれぞれからズボンが3本に枝分かれし、全部で6通りになる。 スタート 上A 上B ズボン① → ①通り目ズボン② → ②通り目ズボン③ → ③通り目 ズボン① → ④通り目ズボン② → ⑤通り目ズボン③ → ⑥通り目

枝の先は 2×3 = 6通り。上着ごとに「3通りずつ」あるのが、掛け算の正体です。

3. 積の法則と和の法則

積の法則:順に選ぶ → 掛ける

Aの選び方が m 通り、そのそれぞれについてBの選び方が n 通りなら、A→Bの選び方は m × n 通り。

和の法則:どちらか一方を選ぶ → 足す

AとBが同時には起きないとき、「AまたはB」は m + n 通り。

例題:家から駅まで道が3本、駅から学校まで道が5本ある。
家 → 駅 → 学校:3 × 5 = 15通り(順に選ぶので掛け算)
学校へ行くのに「バス3路線」か「電車2路線」のどれか1つ:3 + 2 = 5通り(どちらか1つなので足し算)

4. 並べ方:階乗

3人(A、B、C)を1列に並べる方法を数えます。先頭は3人から選べて、次は残り2人、最後は1人だけです。

3 × 2 × 1 = 6通り

この「n から 1 まで順に掛けたもの」を n の階乗といい、n! と書きます。

n12345610
n!126241207203,628,800

10人を並べるだけで360万通り以上。組み合わせの数は、あっという間に大きくなります。なお 0! = 1 と決めます(「何も並べない並べ方」が1通りあると考える)。

5. 順列:順番に意味があるとき

10人から、会長・副会長・書記を1人ずつ決めます。会長は10人から、副会長は残り9人から、書記は残り8人からです。

10 × 9 × 8 = 720通り

n 個から r 個を選んで順番に並べる方法を ₙPᵣ と書きます。

ₙPᵣ = n × (n−1) × … × (n−r+1) (r 個の数を掛ける)

6. 組合せ:順番に意味がないとき

10人から、役職のない3人の代表を選ぶとします。「A、B、C」を選んでも、「C、A、B」を選んでも同じメンバーです。

順列で数えた 720通りでは、同じ3人組が「並べ方の数 3! = 6通り」ずつ重複しています。だから 6 で割ります。

₁₀C₃ = 720 ÷ 6 = 120通り
ₙCᵣ = ₙPᵣ ÷ r! = n! ÷ ( r! (n−r)! )

ₙCᵣ = ₙC₍ₙ₋ᵣ₎:「選ぶ r 人」を決めることは「選ばない n−r 人」を決めることと同じ。だから ₁₀C₇ = ₁₀C₃ = 120。大きい方は小さい方に直して計算すると楽です。

7. パスカルの三角形

組合せの数を並べると、隣り合う2つの和が下の数になる三角形ができます。

n\r0123456
01
111
2121
31331
414641
515101051
61615201561

たとえば ₄C₂ = 6 は、上の行の ₃C₁+₃C₂ = 3+3 です。「特定の1人を選ぶ場合」と「選ばない場合」に分けると、足し算になる理由が分かります。この表は、後の二項分布でも主役になります。

組合せ・順列の電卓

n と r を入れて「計算する」を押してね。

nは60まで。大きな数もBigIntで正確に計算します。

8. もっと数える技

9. 例題

例題:男子4人、女子3人から、男子2人と女子2人を選ぶ方法は何通り?
男子の選び方 ₄C₂ = 6通り
女子の選び方 ₃C₂ = 3通り
「そして」なので掛け算:6 × 3 = 18通り
例題(運の話):ロト6は、1〜43の数字から6個を選びます。順番は関係ないので組合せです。
₄₃C₆ = 6,096,454通り

ある1通りを買って当たる確率は約 600万分の1。次のページからは、この「数えた結果」を使って確率を計算していきます。

10. 練習問題

  1. 上着4枚、ズボン3本、靴2足から1つずつ選ぶコーディネートは何通り?
  2. 7人から会長と副会長を1人ずつ選ぶ方法は何通り?
  3. 8人から3人の代表を選ぶ方法は何通り?
  4. a、a、b、b、b、c の6文字を1列に並べる方法は何通り?
  5. 男子4人、女子3人から、男子2人と女子2人を選ぶ方法は何通り?
  6. 6人が円卓に座る方法は何通り?
  7. 男子4人、女子3人から3人選ぶとき、女子が少なくとも1人含まれる選び方は何通り?
答えと途中式を確認する

1:4 × 3 × 2 = 24通り。

2:順番(役職)に意味があるので ₇P₂ = 7 × 6 = 42通り。

3:₈C₃ = (8×7×6)÷(3×2×1) = 56通り。

4:6! ÷ (2! × 3! × 1!) = 720 ÷ 12 = 60通り。

5:₄C₂ × ₃C₂ = 6 × 3 = 18通り。

6:(6−1)! = 120通り。

7:全体 ₇C₃ = 35から、男子だけ ₄C₃ = 4 を引いて 31通り。