場合の数
確率の土台は「数え上げ」です。樹形図から順列・組合せまで、漏れなく重なりなく数える方法を学びます。

1. 確率の前に「数える」
確率は、ほとんどの場合「あることが起きる場合の数 ÷ 全部の場合の数」で決まります。だから確率の第一歩は、漏れなく・重なりなく数えることです。
初級このページは高校数学Aの「場合の数」です。公式より先に、数え方の考え方を見ていきます。
数え方のコツはたった2つ。
① 全部書き出す(樹形図) ② 規則が見えたら掛け算・足し算にまとめる
2. 樹形図で全部書き出す
上着が2枚(A、B)、ズボンが3本(①②③)あるとき、コーディネートは何通りでしょう。上着を決めると、その先でズボンが3本に分かれます。
枝の先は 2×3 = 6通り。上着ごとに「3通りずつ」あるのが、掛け算の正体です。
3. 積の法則と和の法則
Aの選び方が m 通り、そのそれぞれについてBの選び方が n 通りなら、A→Bの選び方は m × n 通り。
AとBが同時には起きないとき、「AまたはB」は m + n 通り。
4. 並べ方:階乗
3人(A、B、C)を1列に並べる方法を数えます。先頭は3人から選べて、次は残り2人、最後は1人だけです。
この「n から 1 まで順に掛けたもの」を n の階乗といい、n! と書きます。
| n | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| n! | 1 | 2 | 6 | 24 | 120 | 720 | 3,628,800 |
10人を並べるだけで360万通り以上。組み合わせの数は、あっという間に大きくなります。なお 0! = 1 と決めます(「何も並べない並べ方」が1通りあると考える)。
5. 順列:順番に意味があるとき
10人から、会長・副会長・書記を1人ずつ決めます。会長は10人から、副会長は残り9人から、書記は残り8人からです。
n 個から r 個を選んで順番に並べる方法を ₙPᵣ と書きます。
6. 組合せ:順番に意味がないとき
10人から、役職のない3人の代表を選ぶとします。「A、B、C」を選んでも、「C、A、B」を選んでも同じメンバーです。
順列で数えた 720通りでは、同じ3人組が「並べ方の数 3! = 6通り」ずつ重複しています。だから 6 で割ります。
ₙCᵣ = ₙC₍ₙ₋ᵣ₎:「選ぶ r 人」を決めることは「選ばない n−r 人」を決めることと同じ。だから ₁₀C₇ = ₁₀C₃ = 120。大きい方は小さい方に直して計算すると楽です。
7. パスカルの三角形
組合せの数を並べると、隣り合う2つの和が下の数になる三角形ができます。
| n\r | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 1 | ||||||
| 1 | 1 | 1 | |||||
| 2 | 1 | 2 | 1 | ||||
| 3 | 1 | 3 | 3 | 1 | |||
| 4 | 1 | 4 | 6 | 4 | 1 | ||
| 5 | 1 | 5 | 10 | 10 | 5 | 1 | |
| 6 | 1 | 6 | 15 | 20 | 15 | 6 | 1 |
たとえば ₄C₂ = 6 は、上の行の ₃C₁+₃C₂ = 3+3 です。「特定の1人を選ぶ場合」と「選ばない場合」に分けると、足し算になる理由が分かります。この表は、後の二項分布でも主役になります。
組合せ・順列の電卓
nは60まで。大きな数もBigIntで正確に計算します。
8. もっと数える技
- 同じものを含む順列: A、A、B、B、B を並べる方法は
5! ÷ (2! × 3!) = 10通り。「5か所のうちAを置く2か所を選ぶ」と考えて₅C₂ = 10でも同じです。 - 重複順列: 3択問題を5問、順に答える方法は
3⁵ = 243通り。毎回3通りで、選択肢は使い回せます。 - 円順列: 円卓に n 人が座る方法は
(n−1)!。回転して重なるものは同じとみなすため、1人を固定して考えます。6人なら5! = 120通り。 - 「少なくとも」は引き算: 7人(男4・女3)から3人選び、女子を少なくとも1人含む選び方は、全体から男子だけの場合を引いて
₇C₃ − ₄C₃ = 35 − 4 = 31通り。
9. 例題
ある1通りを買って当たる確率は約 600万分の1。次のページからは、この「数えた結果」を使って確率を計算していきます。
10. 練習問題
- 上着4枚、ズボン3本、靴2足から1つずつ選ぶコーディネートは何通り?
- 7人から会長と副会長を1人ずつ選ぶ方法は何通り?
- 8人から3人の代表を選ぶ方法は何通り?
- a、a、b、b、b、c の6文字を1列に並べる方法は何通り?
- 男子4人、女子3人から、男子2人と女子2人を選ぶ方法は何通り?
- 6人が円卓に座る方法は何通り?
- 男子4人、女子3人から3人選ぶとき、女子が少なくとも1人含まれる選び方は何通り?
答えと途中式を確認する
1:4 × 3 × 2 = 24通り。
2:順番(役職)に意味があるので ₇P₂ = 7 × 6 = 42通り。
3:₈C₃ = (8×7×6)÷(3×2×1) = 56通り。
4:6! ÷ (2! × 3! × 1!) = 720 ÷ 12 = 60通り。
5:₄C₂ × ₃C₂ = 6 × 3 = 18通り。
6:(6−1)! = 120通り。
7:全体 ₇C₃ = 35から、男子だけ ₄C₃ = 4 を引いて 31通り。