数学II|複素数と方程式

虚数と複素数

「2乗すると−1になる数」を加えると、解けなかった方程式が解け、数を平面上の回転として見られるようになります。

虚数は“存在しない数”ではないよ。実数だけでは足りない場面に、新しい方向を一本加えた数なんだ。
✦✦クリーム色のニット姿で虚数を説明する若い先生

1. なぜ新しい数が必要なのか

x²=−1を実数の範囲で考えると解はありません。正の数を2乗しても、負の数を2乗しても、結果は0以上になるからです。

自然数
1, 2, 3, …
整数
…, −1, 0, 1, …
実数
√2、πなども含む
複素数
a+bi

数学では、引き算のために負の数、割り算のために分数、平方根のために無理数へと数の世界を広げてきました。同じ発想で、負の数の平方根を扱えるようにしたものが虚数です。

i²=−1

この性質をもつ新しい数iを虚数単位と定めます。したがって √−1=iです。

2. iの累乗は4個で一周する

i⁰=1
i¹=i
i²=−1
i³=−i

さらにiを掛けると i⁴=1へ戻ります。その後は1、i、−1、−iを繰り返します。

例題:i²³を求める。
23÷4=5余り3なので、i²³はi³と同じ。したがって i²³=−i。

3. 複素数 a+bi

実数a、bを使って a+biと表される数を複素数といいます。

部分名前例:3−2i
a実部3
b虚部−2

4. 複素数の計算

足し算・引き算

実部どうし、虚部どうしをまとめます。

(2+3i)+(4−i)=(2+4)+(3−1)i=6+2i

掛け算

普通の文字式と同じように展開し、最後にi²を−1へ直します。

(2+3i)(1−2i)=2−4i+3i−6i²
=2−i+6=8−i

割り算と共役複素数

a+biに対するa−biを共役複素数といいます。掛けると虚数部分が消えます。

(a+bi)(a−bi)=a²+b²
(3+4i)/(1−2i)

分母・分子へ分母の共役1+2iを掛けます。

{(3+4i)(1+2i)}/{(1−2i)(1+2i)}=(−5+10i)/5=−1+2i

5. 負の数の平方根

√(−a)=√a・i (a>0)

たとえば √−9=3iです。ただし、方程式 x²=−9の解を聞かれた場合は、平方根を取るときに±が必要なので x=±3iです。

6. 二次方程式に虚数が現れるとき

解の公式の判別式Dが負なら、√Dの部分にiが現れます。

例題:x²+2x+5=0
D=2²−4×1×5=−16
x=(−2±√−16)/2=(−2±4i)/2=−1±2i

実数係数の二次方程式で虚数解が出るとき、−1+2iと−1−2iのように共役な組になります。

7. 複素平面で「見える数」にする

実数aを横軸、虚部bを縦軸に取ると、複素数a+biを点(a,b)として表せます。

複素平面上の3+2i横軸が実軸、縦軸が虚軸で、点3+2iを座標3、2に示す。実軸虚軸3+2i32i

この図では、複素数は「横へ3、上へ2進んだ点」です。原点からの距離を絶対値といい、

|a+bi|=√(a²+b²)

|3+2i|=√13です。共役な数3−2iは実軸について上下対称な位置にあります。

8. 掛け算を回転として見る

複素数a+biへiを掛けると、

i(a+bi)=ai+bi²=−b+ai

座標(a,b)が(−b,a)へ移ります。これは原点を中心に反時計回りへ90°回転する変換です。

2+iは点(2,1)。iを掛けると−1+2iとなり、点(−1,2)へ90°回転します。

9. さらに先:オイラーの公式

e^(iθ)=cos θ+i sin θ

指数関数と三角関数と虚数を結ぶ公式です。右辺は複素平面の単位円上で角度θの位置を表します。θ=πを入れると、cosπ=−1、sinπ=0なので、

e^(iπ)+1=0

0、1、e、i、πが一つの式で結ばれます。証明には数列・微分・無限級数を学んだ後の知識を使います。

10. よくある間違い

11. 確認問題

  1. i²³を求める。
  2. (3−2i)+(1+5i)を計算する。
  3. (2+i)(2−i)を計算する。
  4. (1+i)/(1−i)をa+biの形にする。
  5. x²=−16を解く。
  6. x²−4x+13=0を解く。
答えと途中式を確認する

1:23を4で割った余りは3なので、i²³=i³=−i。

2:4+3i。

3:4−i²=5。

4:分母・分子へ1+iを掛けると、(1+i)²/{(1−i)(1+i)}=2i/2=i。

5:x=±4i。

6:D=16−52=−36。x=(4±6i)/2=2±3i。