虚数と複素数
「2乗すると−1になる数」を加えると、解けなかった方程式が解け、数を平面上の回転として見られるようになります。

1. なぜ新しい数が必要なのか
x²=−1を実数の範囲で考えると解はありません。正の数を2乗しても、負の数を2乗しても、結果は0以上になるからです。
1, 2, 3, …
…, −1, 0, 1, …
√2、πなども含む
a+bi
数学では、引き算のために負の数、割り算のために分数、平方根のために無理数へと数の世界を広げてきました。同じ発想で、負の数の平方根を扱えるようにしたものが虚数です。
この性質をもつ新しい数iを虚数単位と定めます。したがって √−1=iです。
2. iの累乗は4個で一周する
さらにiを掛けると i⁴=1へ戻ります。その後は1、i、−1、−iを繰り返します。
i²³を求める。23÷4=5余り3なので、i²³はi³と同じ。したがって i²³=−i。
3. 複素数 a+bi
実数a、bを使って a+biと表される数を複素数といいます。
| 部分 | 名前 | 例:3−2i |
|---|---|---|
| a | 実部 | 3 |
| b | 虚部 | −2 |
- b=0なら、a+0i=aなので普通の実数です。
- a=0、b≠0なら、biを純虚数といいます。
- a+bi=c+di であるための条件は、a=cかつb=dです。
4. 複素数の計算
足し算・引き算
実部どうし、虚部どうしをまとめます。
掛け算
普通の文字式と同じように展開し、最後にi²を−1へ直します。
割り算と共役複素数
a+biに対するa−biを共役複素数といいます。掛けると虚数部分が消えます。
分母・分子へ分母の共役1+2iを掛けます。
5. 負の数の平方根
たとえば √−9=3iです。ただし、方程式 x²=−9の解を聞かれた場合は、平方根を取るときに±が必要なので x=±3iです。
6. 二次方程式に虚数が現れるとき
解の公式の判別式Dが負なら、√Dの部分にiが現れます。
x²+2x+5=0実数係数の二次方程式で虚数解が出るとき、−1+2iと−1−2iのように共役な組になります。
7. 複素平面で「見える数」にする
実数aを横軸、虚部bを縦軸に取ると、複素数a+biを点(a,b)として表せます。
この図では、複素数は「横へ3、上へ2進んだ点」です。原点からの距離を絶対値といい、
|3+2i|=√13です。共役な数3−2iは実軸について上下対称な位置にあります。
8. 掛け算を回転として見る
複素数a+biへiを掛けると、
座標(a,b)が(−b,a)へ移ります。これは原点を中心に反時計回りへ90°回転する変換です。
2+iは点(2,1)。iを掛けると−1+2iとなり、点(−1,2)へ90°回転します。9. さらに先:オイラーの公式
指数関数と三角関数と虚数を結ぶ公式です。右辺は複素平面の単位円上で角度θの位置を表します。θ=πを入れると、cosπ=−1、sinπ=0なので、
0、1、e、i、πが一つの式で結ばれます。証明には数列・微分・無限級数を学んだ後の知識を使います。
10. よくある間違い
i²=1ではなく、i²=−1。√a√b=√abは、実数ではa、bがともに0以上のときに使う法則。負数へ無造作に使わない。1/i=iではない。1/i=i/i²=−i。- 複素数には、実数のような通常の大小関係を付けません。「3+i>2+5i」のような比較はしません。
11. 確認問題
i²³を求める。(3−2i)+(1+5i)を計算する。(2+i)(2−i)を計算する。(1+i)/(1−i)をa+biの形にする。x²=−16を解く。x²−4x+13=0を解く。
答えと途中式を確認する
1:23を4で割った余りは3なので、i²³=i³=−i。
2:4+3i。
3:4−i²=5。
4:分母・分子へ1+iを掛けると、(1+i)²/{(1−i)(1+i)}=2i/2=i。
5:x=±4i。
6:D=16−52=−36。x=(4±6i)/2=2±3i。